かもめダイアリー

画:植木まみすけ http://mm9.hatenablog.com/

2016-02-26から1日間の記事一覧

第2話「はじめの一歩」4

今日は体育のテストの日だ。しかも一限から。柚葉は少し早起きして食堂に向かい、朝ごはんを多めにとった。あんまり好きじゃない牛乳も少し多めに飲む。 ちょうど朝ごはんを食べ終わった頃、降りてきた晴とばったり会った。

第2話「はじめの一歩」3

「柚葉ちゃん、柚葉ちゃん」 下から晴の呼ぶ声で目が覚めた。「今日一限体育だよ! 大丈夫?」

第2話「はじめの一歩」2

体育のドッヂボールは散々だった。なんせ、昔から体育は苦手だったのだ。小さいときから体を動かすことより絵本を読むのが好きだった。運動ができることより勉強ができる方が女の子はバカにされないし。

第2話「はじめの一歩」1

海央館女子高校に程近いところ、乙女坂の途中にある学生寮「かもめ寮」。一年生は三階、二年生は二階、三年生は一階に部屋があり、一・二年生までは二人一部屋、三年生は個室という決まりになっていた。

第1話「フライト」3

入学金振込締め切りの三日前。ついに父親が動いた。 夜十時。仕事から帰り一人で冷たくなったハンバーグに食らいつく父親を横目で見ながら部屋へ逃げようとする柚葉に、父親はこう声をかけた。 「自分の将来の責任はお前にしか取れないんだぞ。わかってるの…

第1話「フライト」2

桜陽高校に落ちた。しかしそれからのことは何も考えていなかった。とにかく桜陽のことで手一杯だった真島家はとりあえず世話になっている塾に相談することにした。塾の一室で塾長と一緒に四人で偏差値表を広げ、ああでもないこうでもないとやりはじめる。柚…

第1話「フライト」1

真島柚葉は窓におでこをくっつけて、その冷たさに静かに目を閉じた。眼下に広がる雲海と飛行機の翼の白さがまぶたの裏からでも眩しかった。そして、ただの意地だけで鹿児島行きを決めたのを、早くもここで後悔し始めていた。 (でもなあ、私がずっとあそこに…

第0話「春は猫と共に去りぬ」

晴は言った。 「ああ、あれはシロだよ」 遊莉にも訊いた。 「シロよ」 まゆはこう言った。 「私はズーイって呼んでるよ。ズーイって月って意味の言葉だって聞いて。何語か忘れたけど」 美々子はにっこり笑って答えた。 「真っ白だから、しろちゃん!」