かもめダイアリー

画:植木まみすけ http://mm9.hatenablog.com/

2016-03-02から1日間の記事一覧

第5話「ややこしい二人」1

「……」 一限が終わるなり、柚葉はふらりと晴の席の後ろに立つと、無言で晴の肩を掴んだ。晴が「ひゃわっ!?」と飛び上がる。「わ、びっくりした……ゆず、どうしたの?」

第4.5話「はじめてのいそけん」

いつものように朝の校門をくぐり外階段をのぼり教員室前を通りすぎたとき、柚葉たちは物々しい光景にぎょっとした。 廊下の真ん中にポールが置かれ二列に区切られている。混雑する廊下を動き回っているのは一分の隙もなくびしっと制服を着こなした生徒会員た…

第4話「My favorite things」3

柚葉はびっくりしてしばらく目の前の顔を見つめていた。――遊莉の顔を。 遊莉も少しびっくりしていた。そして少し呆れた風に言った。「……あんた、何やってんのそこで」

第4話「My favorite things」2

その次の授業から曲に合わせての発声練習が始まった。「オペラ歌手がみんな太ってなきゃできないなんてありえない。発声を正しく行えば体は自然と痩せるもの。声は遠くに飛ばすの。そして、響かせる。それだけ」 境は真っ先にそう言った。

第4話「My favorite things」1

かもめ寮302号室。二段ベッドの二階、枕元のデジタル時計が「7:00」になったとたん、ベッドフレームに引っ掛かけていたヘッドホンから澄んだ歌声が響き出す。 そこに何があるとしても 未開の領域へ君と……

第3.5話「湯飲み」

後日。柚葉はかもめ寮の自室、三〇二号室で晴と一緒に黙々と数学の問題集と格闘していた。このタイプ苦手なんだよなぁ……と思いつつ、柚葉は放課後西田が教えてくれた手順をなぞり少しずつ式を組み立てていく。 (あ、そういえば)

第3話「トップノート」3

「毎日偉いね」 そう言うのは図書室司書の榎だ。最近の柚葉は毎日放課後になると図書室で勉強している。貸出カウンターの向かい、中庭のよく見える、日の当たる窓辺が柚葉の特等席だ。

第3話「トップノート」2

初めの一週間、女子高生の間で密かに西田が話題になった。西田先生ってイケメンじゃない? という話だ。

第3話「トップノート」1

すれ違ったときに、いい匂いがする、と思った。好きな匂いがする。「この人の匂いが好きだ」、ほとんど本能的にそう思った。 柚葉と西田の出会いはそういうものだった。